今回は英検1級のリスニングのパート3について解説します。パート3は唯一、音声が流れる前に選択肢を読む時間が与えられるパートになっています。先読みの時間を無駄にしないために、あらかじめ問題形式と傾向を把握しておくことが重要です。なぜならば、パターンを知っておくと、正解を選ぶときの精度が上がるためです。
- パート3の問題形式がわかる
- 過去に出題された「内容」がわかる
- 過去問分析からわかった「Situation」の傾向がわかる
- 過去問分析からわかった「Question」の傾向がわかる
- 過去問分析からわかった「選択肢」の傾向がわかる
- 過去問分析からわかったパート3の「難易度」がわかる
リスニングパート3の効率的な先読み方法を知りたい方、対策法に興味がある方はぜひこちらのパート3の先読みテクニック7選と対策法をご覧ください。
英検1級のリスニングパート3の問題形式
形式、問題数、パート3の特徴、試験の流れを確認していきます。
形式
"Situation" 、"Question" 、"4つの選択肢" が問題用紙に印刷されています。
Situationは過去5年分を見ると25語から33語で構成されています。3行か4行になります。下の表は過去8回分のSituationが、何行であったのかをまとめたものです。
検定回 | 5問分の行数 |
---|---|
2021年度第2 | 4, 4, 3, 4, 4 |
2021年度第1 | 4, 4, 4, 4, 4 |
2020年度第3 | 3, 3, 4, 4, 3 |
2020年度第2 | 3, 3, 3, 4, 3 |
2020年度第1 | 3, 4, 4, 4, 4 |
2019年度第3 | 4, 4, 3, 3, 3 |
2019年度第2 | 4, 4, 3, 3, 3 |
2019年度第1 | 3, 3, 3, 3, 3 |
例えば、2021年度第1回目は全て4行にわたっていました。2019年度第1回目は全て3行でした。
問題数
問題数は計5問です。内容は全てバラバラです。
特徴
音声が流れる前にSituationとQuestionを読むための時間が10秒間与えられます。この10秒の間に選択肢を先読みしてもOKです。むしろ、Situationと選択肢を先読みしてください。
先読みをしてからリスニングを行う点が、他のパートと大きく異なります
試験の流れ
試験の流れは次のとおりです。
パート3のDirectionsが流れます。
⇓
一問目のSituationとQuestionを読むための時間が10秒与えられます。
⇓
リスニング音声が一度のみ流れます。長さは約1分です。
⇓
正解の番号をマークシートに塗るよう指示されます。解答時間は10秒です。この時、質問は流れませんので注意してください。
⇓
二問目のSituationとQuestionを読むための時間が10秒与えられます。
⇓
音声が放送されます。
⇓
正解の番号をマークシートに塗るよう指示されます。
⇓
この繰り返しです。
英検1級リスニングパート3の傾向
過去に出題された内容、Situation、Question、選択肢、難易度を確認していきます。
内容の傾向
実際の日常生活でありそうな会話やアナウンス、電話メッセージが流れます。電話で聞くようなピーという音などの効果音も入ってきます。話題は多岐にわたりますが、よく次のようなことが過去に出題されています。
- 大学での課題や論文期限について
- 医者や獣医から指示を受ける
- ローンの金利やプランを選ぶ
- ビザの更新について
- 新しい住まい探し
- 引っ越し用のトラック選び
- ミーティングの日程決め
Situationの傾向
Situationの主語はYouです。Youが置かれている状況が説明されています。状況は大体2つです。
- ある目的を達成したい
- 抱えている問題を解決した
シンプルに置かれている状況を説明する問題もあれば、目的達成または問題解決のために必要な「条件」が書かれている場合もあります。
頻出な条件は次のとおりです。
- 金額
- 期間
- 日時
例えば、
予算は$3,000まで
来週までに
『問題』とそれを『解決するための条件』が提示されます
Questionの傾向
Questionの主語はYouです。Questionはパターン化されています。過去14回分、70問のQuestionを疑問詞別に見てみると次のような結果になりました。
過去70回分ではWhatが83%、Whichが16%、Whereが1%でした。
最もよく聞かれるのはWhat疑問文
次の形でよく聞かれます。
- What should you do?
- What should you do first?
- やるべき行動や最初にとる行動を問われるケースが多い
例えば、
休暇中に同僚から仕事を頼まれた。やるべきことは?
Which疑問文で聞かれる時も時々あります
次の形でよく聞かれます。
- Which (なになに) should you choose?
- Which (なになに) should you 動詞?
- Situationで確認した条件に合ったベストな (なになに) はどれ?と問われたり、予算内でベストなものを選ぶケースが多い
例えば、
どの料金プランがベスト?
どのツアーがベスト?
のように聞かれます。
最近だとWhich文は2021年度第2回目で2問、2020年度第2回目で2問、2020年度第1回目で3問、2019年度第2回目で3問聞かれました。例外として、2019年度第3回目でWhereで始まる質問が出ましたが、Whereで始まる質問はそうそう聞かれないです。
選択肢の傾向
Questionが『What』か『Which』かによって、選択肢は異なってきます。
[What質問]
- Which質問より語数が多い傾向
- 5から10語前後
- 行動を促す内容
[Which質問]
Whichから始まる質問の場合、選択肢には名詞が並んでいます。
例えば、
- 医者との会話だった場合、薬の名前が並びます
- 家選びの場合、不動産名が並びます
- 授業選びの場合、授業のコース名が並んだりします
難易度
パート3の難易度は回によってバラバラです。過去5年間分を難易度で比べてみました。
検定回 | 難易度 |
---|---|
2021年度第2 | 易 |
2021年度第1 | やや難 |
2020年度第3 | 普通 |
2020年度第2 | 難 |
2020年度第1 | 易 |
2019年度第3 | 難 |
2019年度第2 | 易 |
2019年度第1 | やや難 |
2018年度第3 | 普通 |
2018年度第2 | 易 |
2018年度第1 | 普通 |
2017年度第3 | 易 |
2017年度第2 | 普通 |
2017年度第1 | やや難 |
- 条件がシンプルで素直に解ける回もあれば、計算が必要な回もある
- 同じ回の中でも、難しい問題と易しい問題が混ざっていることもある
- 合格するためには、解きやすい問題で確実に正解すること必要
2021年度2回目は、条件がとてもシンプルでした。最近は計算をする問題が出ていない印象です。
【2021年度版】英検1級のリスニングパート3の問題形式と傾向のまとめ
今回は英検1級のリスニングのパート3について解説しました。解説した内容は問題形式と全体の傾向です。
それぞれをまとめます。
問題形式は次のとおりです。問題用紙には実際の日常生活のSituation、Question、4つの選択肢が印刷されています。音声が流れる前にSituationとQuestionを読むための時間が10秒間与えられることが、他のパートと違います。
よく出てくるSituationは下記のとおりです。
- 大学
- 不動産
- 医療関係者とのやりとり
- 同僚とのやりとり
Situationの傾向をまとめます。Situationの主語はYouです。Youが置かれているSituationは大きく2つです。
- ある目的を達成したい
- 抱えている問題を解決したい
場合により、正解を選ぶのに必要な条件が書かれている場合もあります。よく出てくる条件は金額、期間、日時です。
次はQuestionの傾向をまとめます。主語はYouです。Questionはパターン化されており、最もよく聞かれるのはWhat疑問文です。次いでWhich疑問文です。過去70問中Whatが83%、Whichが16%、Whereが1%でした。
Whatで聞かれた場合、やるべき行動や最初にとるべき行動が問われるケースが多いです。Whichで聞かれた場合、条件に合ったベストなものを選ぶケースが多いです。
選択肢の傾向をまとめます。What質問の場合、10語前後で行動を示す内容が書かれています。Which質問の場合、名詞が並んでいます。
難易度は回によってバラバラです。
以上が、リスニングパート3の形式と傾向のまとめでした。聞かれる質問は大体同じなので、先読みはSituationと選択肢に目を通すことをおすすめします。
パート3の具体的な先読みを知りたい方は、ぜひ別記事の先読みテクニック解説記事をご覧ください!