- 「さくっと英検1級一次試験を突破したいに、やらなければならない対策があり過ぎて、なにから手をつければいいのわからない」
- 「そもそも難しすぎ! 一次すら通過できない···」
- 「過去問を解いたけど合格点に達しない」
とお悩みではありませんか?
実はたった一つのことに集中すれば、一次は突破できます。それが単語力アップです。
なぜなら、難しすぎると感じる一番の原因は知らない単語が多いからです。特に準1級まで他のパートで単語力不足をカバーしてきた方ほど、効果を実感できます。
私も一次試験に手こずっていました。初受験は準1級を合格後すぐに受け、ただただレベルの高さに圧倒されただけでした。2回目はそこそこ対策をしたつもりでしたが、やはり通過できませんでした。
1級はムリと感じ、その後英語学習もやめてしまいました。しかしどうしても1級に合格したくなり、1年半のブランクを経て、もう一度受験することを決意しました。
試験日まで時間がなかった私は、「知っている単語を増やす」ことだけに集中することを決めました。結果、一次を難なく通過、そのまま二次を一発で合格できました。
初受験の友人Aと、同じく一次試験に手こずっていた友人Bに「単語の強化だけ」に集中するようにすすめたところ、2人とも無事1級合格できました。
この記事では一次突破に唯一有効な対策法である、『単語力の強化』について解説します。
- なぜ単語力アップが一次試験通過に必須の勉強法なのかがわかる
- 単語力アップに役立つおすすめの教材3冊がわかる
結論は、知っている単語数を13,000語まで増やすことです。単語力を鍛えると他のパートの理解度も上がり、結果一次を突破できるようになります。単語帳選びで大切なことは、いかに楽に、復習できる仕掛けがあるかです。
英検1級合格に単語力の強化は必須
あれこれ対策をしなくても、たった一つのことに集中すれば一次は突破できます。それが単語力の強化です。
なぜならば、
- 1級の単語レベルは格段と高い
- 単語問題はリーディングパート41問中25問も出題
- 他のパートの理解にも大きくかかわってくる
からです。
でも『単語力って本当に重要? 単語力があれば長文問題も解けるようになるの?』と感じている方もいると思います。正直、単語を覚えるのってめんどくさいですし、つまらない作業ですよね。
まずは、知っている単語数と読解の理解度の関係性を説明します。
知っている単語数と読解力は密に関連
はたして、筆記試験に出てくる全ての単語を知らないと、本当に理解できないのでしょうか?
実は文中に、知っている意味の単語が多いほど、その文を理解しやすくなります。あなたもこの事実は実感できると思います。
例えば、英検5級の文はスラスラ理解できますよね。それは5級で出題される単語を、あなたは学習済みだからです。
文中の理解できる英単語の割合 (語彙カバー率、テキストカバー率) と読解の理解度を調べた研究がありますのでご紹介します。どの論文も引用数が多いので、信用できる内容と考えます。
結論は、
- 一人で読解するには95% - 98%のカバー率が必要
- 8000から9000語サイズが98%カバー率になるのに必要
出典:
Laufer, B. (1989). What percentage of text-lexis is essential for comprehension? In C. Lauren, & M. Nordman (Eds.), Special language: From humans thinking to thinking machines, Multilingual Matters, Clevedon, 316-323.
Hu, M. & Nation, P. (2000). Unknown vocabulary density and reading comprehension.
Reading in a Foreign Language, 13(1), 403-430.
Nation, P. (2006). How large a vocabulary is needed for reading and listening? Canadian Modern Language Review, 63, 59-82.
では98%に達するための単語とは、1級では具体的にどれくらいのレベルなのでしょう? まずは、実際の問題で出てくる単語のレベルを確かめていきます。
長文問題にも難度の高い単語が出題
大問1の単語問題のみに、特別難しい単語が出題されていると考えていませんか? 実は読解問題にも12,000語レベルやそれ以上の難しい単語が出てきています。
次の3つのツールを使用し、長文問題に出てくる単語レベルと、どのくらいの割合で各レベルの単語が出題されるのかを確認しました。
- New Word Level Checker (関西大学のAtsushi Mizumoto博士が提供)
- VocabProfile - Compleat Lexical Tutor (lextutor.ca, Thomas Cobb博士が提供)
- VocabKitchen (Jeremy Garner氏が提供)
それぞれのツールに同じ読解問題を使い、調べてみました。
New Word Level Checkerで単語レベルを確認
過去問のとある長文問題をNew Word Level Checkerでチェックしてみます。照らし合わせる単語リストはSVL 12000を使用します。
∗ SVL12000はアルクが作った12のレベル順の英単語リストのことです。
SVL12000と照らし合わせた結果が以下のとおりです。
- 10000語レベルの単語が1.76%出題
- 12000レベルの単語も0.25%出題
されていることです。
注目すべき二つめの点は、
- 8000語レベルで累積カバー率95.48%
- 12000語レベルで累積カバー率97.99%
されていることです。
先ほど、読解に必要な語彙カバー率は95% - 98%と解説しました。つまり、8,000語レベルの単語を把握していると読解に必要な95%カバー率に達します。12,000語レベルの単語も把握していれば長文の98%をカバーすることがわかります。
VocabProfile - Compleat Lexical Tutorで単語レベルを確認
VocabProfileを使用し、長文問題で出題された単語を難易度で分類しました。次のように、4つのリストに分類された結果が得られます。
- 基本的な1,000単語リスト (K1 words)
- 基本的な2,000単語リスト (K2 words)
- アカデミックで頻出する単語リスト (AWL words)
- Off-list words
結果は以下のとおりでした。
VocabKitchenで単語レベルを確認
VocabKitchenを使うと、長文に出てくる単語をCEFRのレベル別にしてくれます。結果、以下のとおりでした。
CEFRレベル | 割合(%) |
---|---|
A1 | 52 |
A2 | 8 |
B1 | 14 |
B2 | 14 |
C1 | 2 |
C2 | 3 |
off list | 8 |
注目すべきことは次のことです。
- 上級レベルであるC1が2%
- 最上級レベルであるC2も3%
- 準1級レベルのB2が14%含まれている
CEFRってなに?と思った方、大丈夫です。次にCEFRについて詳しく解説していきます。
英検1級はCEFR C1レベルに相当
1級はCEFR C1レベルに相当します。
CEFRとは、
- 『あなたの英語力はこのレベルですよ』と目安を教えてくれる国際指標
- レベルは6段階 (初心者A1, A2, B1, B2, C1, C2上級)
- 英語以外の言語の指標でもある
- 欧州評議会 (CoE) が作成したガイドライン
- ケンブリッジ大学英語検定機構が協力
1級は上から二番目のC1にあたります。
次にC1はどのような単語が該当するのか、次の2つのツールを使って調べてみます。
- English Vocabulary Profile (ケンブリッジ大学などの複数の機関が提供しているサービス)
- Oxford Learner’s Dictionaries
こんな単語がC1レベル: 単語帳との比較1
まずはEnglish Vocabulary Profileを使っていきます。このツールを使うと、CEFR各レベルの単語を参照できます。
C1レベルの単語一覧を見ると、1級単語帳に載っている単語が、数え切れないほどあります。いくつか例をご紹介します。
- impose
- unwind
- concede
こんな単語がC1レベル: 単語帳との比較2
Oxford Learner’s Dictionariesの辞書の中でも、The Oxford 5000とThe Oxford PhraseはC1までの単語が掲載されています。オンラインでC1単語を一覧できます。
例えば、以下の単語が1級単語帳にも載っています。
- adhere
- deploy
- invoke
目標は13,000語を覚える
いろいろな分析ツールを使って1級単語のレベルを見てきました。ここまでをまとめます。
- 最終目標は13,000語+ (時にCEFR C2レベルやアカデミック単語も出題されるため)
- 12,000語レベルの単語を知っていると、長文の内容を98%理解できる
- CEFRのC1レベルまでの単語は確実に覚える (単語帳レベル)
- 準1級の単語もきちんとおさえておくことが必須
次に単語力の強化が必須な理由その2、単語の問題数について解説します。
純粋な単語問題が25問も出題
合格に必要なことは、点を稼げるパートで確実に一点でも多くとることです! それが可能なパートが、単語問題です。
なぜならば、リーディングパートの41問中、25問も出題されるからです。あなたはどれくらい1級の単語を知っていますか?と25問も問われます。シンプルですね。この25問は得点源です!
知っている単語が多ければ多いほど、
- 自信をもって正解を選べる
- わからない単語が選択肢に入ってても、消去法で正解を選べる確率が高くなる
- 満点も夢ではないパートになる
特に2021年度第一回の単語問題は単語帳に載っている単語ばかりでした。素直に単語力を向上させることが大事です。
次に、単語力の強化が必須な理由その3を解説します。
全パートで単語力は欠かせない
一次はリーディング、ライティング、リスニングの3技能が測定されます。3技能が評価されるのに、なぜ一次通過のためには「単語力アップ」の勉強がとても大事なのでしょう?
それは難度の高い単語を知らないと、各パートで正解できないからです。
それぞれのパートで必要な単語数の目安は以下のとおりです。
- リーディング ⇒ 約13,000語レベル
- ライティングトピックの理解⇒ 8,000 - 10,000語レベル
- リスニング ⇒ 8,000 - 10,000語レベル
先ほど、長文にも準1級レベルやアカデミック単語も出てきますと解説しました。少し戻って読みたい方はここをクリック。
ライティングのトピックを理解するためには、8,000 - 10,000語レベルが必要です。例えば、2021年度第一回目のトピックに出てきた [economic sanctions] の意味を正しく理解しないと、ライティングできません。調べてみたらeconomic sanctions はCEFR B1、準1レベルでした。
リスニング問題は8,000語、できれば10,000語を確実に覚えておくことが大事です。
準1級と1級の壁
準1級に合格するためには、約8,000 から約9,000語が必要です。よく準1級と1級の間には壁があると聞きますが、存在します。これは1級に出てくる単語が多すぎるという事が、1級は難しいと言われる主因です。
まだ準1級が受かった時点では、1級合格に必要な単語は身に付いていないと考えてOKです。逆に準1級の対策時に、あまり単語を覚えてこなかった方は、ぜひ準1級の単語もマスターしてください。
対策は知っている単語数を増やすだけ
ここまで合格に必要な単語数を解説してきました。13,000以上の単語が必要! と聞くと数に圧倒されてしまいますよね。けど、げんなりしなくて大丈夫です。
- 重要なことは、試験内で出題される単語の意味を知っていること
- 単語を「知っている状態」で合格ラインを越せる
全ての単語を使いこなせる状態までしなきゃ!と自分を追い込む必要はありません。実践レベルに達する努力をするのは、合格後でイイと考えます。私はライティングやスピーキング時に一万レベルの単語は使わなくても合格できました。
私自身、単語力を増やすだけで試験内容を圧倒的に理解しやすくなったのは驚きました。正直、リスニング力や読解力は力を伸ばすのに、時間がかかります。しかし単語力は覚えた瞬間から威力を発揮してくれます!
では、単語力アップが期待できるおすすめの教材を3冊ご紹介します。時間がない方は最初の一冊のみでOKです。
英検1級の単語力強化におすすめの教材1
おすすめの単語帳は【CD-ROM · 音声DL · 赤シート付】 改訂版 キクタン 英検1級です。
単語帳と聞くと、旺文社の「英検でる順パス単」が思い浮かぶ方もいるかと思います。あるいはパス単で勉強してきたけど、結果につながらない方もいるかと思います。
という私もパス単で学習しようとしましたが、継続できませんでした。ここであえてキクタンをおすすめするメリットを説明します。
メリットはずばり、単語を定着させる工夫が多いことです。
具体的な理由を見ていきましょう。
- 単熟語が厳選されている
- 音源を聴くだけで良い手軽さ
- 思わず口ずさみたくなるリズムの音源
- 音源が「英語→日本語→英語」
- 正しい発音 · アクセントが身につく
- 復習しやすい
それぞれのおすすめ理由をみていきましょう。
単熟語が厳選されている
掲載語数は1120語です。厳選されているからこそ、しっかり頭に入れるというハードルがパス単より低くなります。結果、モチベーションが上がり単語が定着しやすいです。
音源を聴くだけで良い手軽さ
どんなに単語帳を開くのが億劫でも、音源を聞くだけでOKです。すると心理的ハードルを下げる事ができ、学習が継続できます。音源は単語のみならず例文も収録されているのがポイントです。
思わず口ずさみたくなるリズム
多くの単語帳の音源は単調ですが、キクタンはチャンツというリズムに合わせ発音されています。チャンツは英語のリズムやイントネーションの習得に効果的と言われいています。
音源が「英語 ⇒ 日本語 ⇒ 英語」
音源が「英語 ⇒ 日本語 ⇒ 英語」となっており、私は英単語が聞こえたら、音源より先に日本語訳を言う、日本語訳が聞こえたら英単語を言う、と繰り返していました。対してパス単は「英語 ⇒ 日本語」のみです。
最後の一押しという感じで、追加でもう一回単語を聞くかどうかで定着率が変わって来ます。パス単は残念ながらこれができません。
正しい発音 · アクセントが身につく
発音記号が掲載されているのはもちろんのこと、発音やアクセントが注意な単語はきちんと、「発音注意」 「アクセント注意」と注意書きがあります。
語学学習において正しい発音ができることは必須です。なぜならばリスニングで覚えた単語が出てきた際に、きちんと認識するためです。スピーキングする際も正しい発音で使わなければ伝わりません。
正しい発音や抑揚を身につけることは一次試験のみならず、二次試験の対策にもなります!
復習がしやすい
前日に学んだ単語を簡単に確認できるテストが付いています。単語にたくさん触れるチャンスが増え、覚えやすくなっています。
見開きの左ページに単熟語8語とその意味、右ページにフレーズと例文が載っています。
推奨されている学習ペースは1日16語です。キクタンの音源は4単語が1セット。達成しやすい目標設定になっています。
- 短いので集中できる
- 派生語や類義語が豊富なため、単語力の土台を作ることができる
- 掲載されているフレーズがそのまま試験に出てくる
- ページの下に昨日に学んだ単語を復習できるミニテストつき
英検1級の単語力強化におすすめの教材2
ジャパンタイムズ出版から出ている、「出る順で最短合格! 英検1級 語彙問題完全制覇 [改訂版]」をおすすめします。
- キクタンで覚えた単語をアウトプットする練習ができる
- 問題が過去問ベースなので傾向が合っている
- 解説が他の語彙対策本より丁寧
- 派生語や類義語が豊富
キクタンで覚えた単語がたくさん出てきます。キクタンではカバーしきれない単語も実践形式の四択問題で覚えられます。
英検1級の単語力強化におすすめの教材3
上記の2冊だけでも十分ですが、さらに単語力を強化したい方は旺文社の「英検1級 文で覚える単熟語 改訂版 英検1級 文で覚える単熟語」 もおすすめです。
- 読解問題を解くのに必要な単熟語を対策できる
- 過去問に出た文章が掲載
- 社会 · 自然など分野別に単熟語が覚えられる
- 読解力も同時に身につけられる
補足: 現在発売されているのは表紙が少し異なります。
【一次試験の対策】英検1級に合格するためにやるべき1つのこと!のまとめ
英検1級一次試験を合格するのに必要な対策は、知っている単語力を約13,000語までアップさせることです。
理由は下記のとおりです。
- 語彙カバー率、98%を達するには12,000語レベルの単語を知っていることが必要
- 1級はCEFRのC1レベル。単語帳に掲載されている単語はC1に相当。単語帳をやりつくし、確実に覚えることが重要。
しかし、時にC2レベルの単語やアカデミックな単語も出題されます。そのため目標は12,000ではなく13,000語レベルまで上げると、さらに理解度が高まります。結果的に読解問題やライティング、リスニングパートに出てくる単語を理解でき、正解率が高まります。
合格に必要な単語数を聞いて、圧倒されている方もいるかと思います。大丈夫です。キクタン単語帳の音源が頭の中で勝手に再生されるぐらい聴き込んでください。きっと頭に定着します。
そして実践形式の問題集で問題に慣れながら、さらなる単語力の強化を図ってください。
筆記試験(一次試験)と面接(二次試験)がありますよね。面接と聞くと難しいイメージですが、実は筆記試験の方が面接より難しいです。
そのため、まずは合格率が低い一次試験を通過することを目標にしてください。私は二次試験の対策は、一次試験合格後でも十分間に合いました。ぜひ、単語力を向上させ一次の突破をめざしてくださいね!
今回ご紹介した書籍
- 【CD-ROM · 音声DL · 赤シート付】 改訂版 キクタン 英検1級
- 出る順で最短合格! 英検1級 語彙問題完全制覇 [改訂版]
- 英検1級 文で覚える単熟語 改訂版 英検1級 文で覚える単熟語